Anthem

ドラマ好きのレビュー・独り言です

この時期に、あえて「野ブタ。をプロデュース」を語る。

 

野ブタ。を後世に伝える活動をしたい。一人でも多くの人類に出会ってほしい。

まだ見ていない方、難しいことは言わない。ただ野ブタを見よう。それだけであなたの人生において、忘れられない10時間を過ごすことが出来る。人生の分岐点にもなるかもしれない。

特に見て欲しいのは学生の方。

将来何をして生きていきたいのか、何を大切にして生きていきたいのか、自分はどう生きていたいのか、何を忘れてはいけないのか。すべて詰まっている。

野ブタは学生の教科書である。全学生見よう。

 

そしてドラマが好きだという方にも見て欲しい。

ドラマというのは映画と違ってお金を払って見るものではないので、老若男女が見る。そのため、様々な世代、価値観の人が色々な楽しみ方を出来るドラマが、「いいドラマ」の定義の一つだと思うのだが、こんなにその条件をクリアしているドラマを見たことがない。

このキャラ設定とバランス感覚、脚本、演出、もはやどれにおいても最高峰。私はこのドラマを見ていると、手から気づくと音が鳴る。生理的に拍手してしまう。なんだこの感覚、そうせずはいられない。ベストパフォーマンス!!!ありがとう!!!このドラマをこの世の中に生み出してくれてどうもありがとう!!!

 

「この世は全てゲームだ」と考え、自己プロデュースによりクラスの人気者という立場を築いている桐谷修二と、修二の親友だと自称する草野彰が、いじめられっ子の小谷信子(野ブタと表記する)を、人気者へとプロデュースしていくというのが大まかなストーリーである。

最初は軽い気持ちで始まったプロデュースだったが、次第に三人が自己を見つめなおしたり、傷ついたり、それでも大切なものを見つけていく。

 

ここからは、具体的に野ブタの魅力を書いていこうと思う。

 

原作からの大幅脚色

 

原作は芥川賞候補にもなった、文芸賞受賞作。

しかし、ドラマ化するにあたり大幅な脚色が行われている。

主人公の修二というキャラも少し変更がなされているが、相棒である彰はなんとドラマオリジナルキャラ。あんなに「二人で一つ」だった、なんて歌っているが、本当に一つだけだったという衝撃。

しかも、野ブタは原作では、いじめられっ子で太っている男子。ドラマ版では堀北真希さんが演じていて、野ブタってかわいい。ものすごい脚色。

ドラマ版と原作は、大筋では同じだが、ドラマ版の方が希望の持てるラストになっている。

もはやこれは、タイトルとキャラの名前を借りた三次創作なのでは。だけど、それでこんなに素晴らしいドラマが出来上がるのだから、本当にすごい。すごすぎる。神なのか。

 

そして、これはちょっと余談。山下智久さん演じる草野彰は、語尾に「だっちゃ」「なのよ~ん」とつけて話す変わったキャラだが、本来は早口でスマートに喋る優等生キャラ。しかし、ご本人曰く当時はイヤイヤ期で、どれだけ監督から要望されてもこのキャラを貫き通したとのこと。実際、会議にもなったとか。

早口でスマートな彰……想像つかない(笑)

 

修二と彰のキャラ設定の秀悦さ

 

修二は日本人らしい人。人気者の一面は、自己プロデュースによって作られた仮面。しかし、本当は誰よりも人が好き。自己肯定感は低い。ついつい周りに合わせてしまう修二を見ていると共感してしまうし、気持ちが分かるから応援してしまう。努力の人である。あー修二好き、良い!!!

 

彰は、自分がきちんとある人。自己肯定感が高くて、自分が好きなように生きているので「だっちゃ」「なのよ~ん」と語尾につけて話すし、修二や野ブタにも話しかけに行くことが出来る。自分の中にきちんと善悪があって、何が大切なのか分かって生きている。私は彰を憧れの対象としてみてしまう。最高かよ!!!

 

つまり、修二と彰は互いにない物を持ち合わせている。修二は共感を集めるヒーローであり、彰は憧れてしまう相棒なのである。だからこそ「二人は一つ」で、二人の友情は見ていて切に訴えかけてくるものがある。

 

詳しくはこの記事が、分かりやすく説明してくれている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f6dc0b39d6cf357f28f8821b0249dee8385a88

 

 

木皿泉さんにしか書けないテーマの描き方

野ブタは一話一話テーマが明確、しかも安易に答えの出せない重たく難しい問題ばかり。

その重たいテーマを、コメディやほっこりに包んで出してくるところが木皿節。

重すぎではない。普通にコメディやほっこりで流すこともできる。

けれど、それを一枚剥がせば、自らそのテーマを見つけに行ってしまう。自ら、能動的にテーマにたどり着かせるので、その分、物語に引き込まれる。

この感覚、是非味わいましょう。そして一緒に叫びましょう。「木皿泉さんは天才ですか!?!?!?!?」と。

 

 

まわりの大人の金言

周りの大人たちが、様々な助言やテーマへのヒントを教えてくれるのだが、いちいち「主語」や「目的語」が抜けているのが魅力。

だからこそ、あの3人は自ら考えて、能動的・主体的に成長する。視聴者も同じように成長する。

しかも、主語や目的語がないため、視聴者自身が抱えている問題へのヒントにもなったりする。もはや金言。いつまでたっても、心の中で生き続ける金言に必ず出会えるだろう。

そして大人たちの距離感や、ゆとりが良い。あくまで大人のアドバイスは手助けで、こういう大人っていいなと思ってしまう。

大人になっていく過程で悩む3人の周りに、あんなに楽しそうに生きている大人が何人も居るのは、とてつもない救いだと思う。この物語の根底にある救いとは彼らのことです。大人になるって悪くない。

 

 

忘れられない第8話

この3人にとっての最終回は第8話らしい。その言葉にとっても納得。

悩み、傷つき、けれど、どう生きたいのか。何を信じたいのか。何が大切なのか。各々が答えを見つける。修二は、この人たちにだけ信じてもらえれば良い、と感じることが出来るようになるし、野ブタは信じたいものを信じて居よう、という結論に至る。彰は、真実かもしれないけれど信じたくないものを信じずに、信じたいものを信じる。

この第8話は、私の人生の中で一番の神回。神回オブ神回。最後の3人が肩を組んで歩くシーンは本当に本当にすべてが良くて素晴らしくて私の語彙力は爆破してどこかに飛んで行った。まだ帰ってきていない。だからもう簡単な言葉で言うけれど、第8話は、もう最高なのである。最高。至高。こんなに素晴らしいものを見せてくれてありがとう。課金したい。課金させてくれ。どこに送ればいい?3人の表情が良くて、笑顔の裏に隠れた葛藤と結論と、キーワードになる「信じる」の答えのように、本当に信じあっている3人という感じで……。どうしよう、また見たくなってきてしまった。

野ブタに関しては、これから一話ずつ考察をツイッターやブログにアップしていく予定なので、8話の話はまた後で存分にする。

 

野ブタ。をプロデュース」はドラマとして100点満点

最初の方にも書いたけれど、ドラマというのは老若男女が見るもの。だから、様々な楽しみ方が出来るのがいいドラマの条件。それを野ブタほどクリアしているドラマは見たことがない―――。

私は、再放送をされる前から野ブタ。を見たことがあって好きだったが、今回の再放送によりさらに好きになった。冗談ではなく、全く違うドラマに見えた。

前見たときに感じていたのは、「めっちゃ面白い学園ドラマ」「修二と彰野ブタの顔が良い」。けれど、今回見たことにより、このドラマの「テーマ」の提示の仕方や、周りの大人や修二と彰のキャラの秀悦さ、8話が最高至高だということ、などを経て、「人生において欠かせないドラマ」へと変化した。

そうなのである。このドラマ、提示してくる「テーマ」に気が付かなければ、ただの「めっちゃ面白い学園ドラマ」なのである。「恋愛ドラマ」「友情ドラマ」「シンデレラストーリードラマ」ととることもできる。その時代、修二と彰青春アミーゴを歌って踊る小学生がたくさんいたらしい。小学生でも楽しめるのである。

顔がいくつもある。いくつあるんだ一体。掘れば掘るほど面白いし、表面的に見ても面白い。なんなんですか、完璧すぎませんか、なんなんですか?ここまで、いいドラマの条件を満たしているドラマはなかなかない。強いて言うなら、逃げ恥くらいだろうか。恋ダンスみんな踊ったもんね。

また10年後にこのドラマを見たら、きっとまた新しい顔を見つけられると思う。それが今から楽しみで仕方ないのである。また新しい顔を見つけるたび、自分の成長を実感する。そうやって、一緒に生きていきたいと思えるドラマ。それが「野ブタ。をプロデュース」なのである。100点満点でしょ?

 

 

 

 

野ブタ」に出会っていないすべての人へ。

野ブタに出会っていない世界線にまだ居るこということが、とてもうらやましい。

だって、まだあなたの人生には「野ブタ。をプロデュース」を見るという、最高に素晴らしい楽しみが残っている。

まあつべこべ言わずに野ブタを見ようじゃないか。一緒に語り合おうじゃないか。お気に入りの金言はどれか、修二派か彰派かを朝まで徹底討論しようじゃないか。私はちなみに彰派なのでよろしく。

 

そして、「野ブタ」を見たことがあるあなたへ。

野ブタは、毎度違う顔を見せてくれるドラマである。今見たらどんな顔を見せてくれるか気にならないか?さあ一緒に確認しよう。

ただ、数か月前に再放送したばかりである。さすがに今もう一度見ても新たな顔は見れないかもしれない。でも、覚えておいてほしい。いつか、何年後か、もう一度野ブタを見たら、新たな顔を見つけられるということを。

そうしたらまた一緒に語り合おう。

青春アミーゴ熱唱しようじゃないか。木皿泉さんの別作品にも手を出そうじゃないか。そして修二と彰どっち派か徹底討論しようじゃないか。私は彰派!!(二回目)

 

 

こんなに素晴らしい「野ブタ。をプロデュース」を作ってくださったすべての方に感謝したい。私はこのドラマに出会えてよかった。そして、最高のバディである修二と彰に息を吹き込んでくれた、亀梨和也さんと山下智久さん、本当にありがとう。

お二人は今、とても大変な時期なのだと思う。様々な憶測や記事が出ていて、正直何が真実なのか分からない。確かに私も初めてその情報を知ったときはショックだった。

けれど、最近は何も気にならなくなってきた。私が見てきたお二人はとても誠実で真摯な方だし、それに何といっても大好きな修二と彰であり亀と山Pだから。たとえ何があっても、それは変わらない。私は、文春の記事も、陰謀説もハメられた説も何も信じずに、お二人のことだけを信じて気長に待っていたいと思う。

そして、こんな時だからこそ、「野ブタ。をプロデュース」を見たいと思うし、もしよければ色々な人に見て欲しい。そんな経緯もあって書いたブログでした~

 

長い。とてつもなく長い。ここまで読んでくれた人は一体居るのだろうか?居てくれたのならどうもありがとう。好きです。

では、またいつかー!今私はMIU404にお熱です~!!みんな見よう~~!!